Overview 虫歯から歯を守るために毎日しっかりとケアしましょう
虫歯は一度罹患すると自然完治することがなく、ごく初期の虫歯はていねいなブラッシングと定期的なクリーニングで経過観察となりますが、ほとんどは治療が必要となります。虫歯を防ぐためには、毎食後の歯磨きや歯科での定期健診など、日ごろからの予防がとても大切になります。
「虫歯治療」とひとくくりで表現されますが、虫歯ができた位置・大きさ・深さ・神経に達しているかどうかで治療期間や方法、麻酔の有無が大きく変わります。実際にどのように進めてゆくかを簡単に説明します。
FLOW 虫歯治療の流れ
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虫歯発見
痛みの発現や学校の歯科検診での虫歯の指摘がきっかけで来院。
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歯科医師が検査・診断
目視やレントゲンで虫歯の程度を判断し、患者様に状態を詳しくご説明し、治療方針または選択肢をご提示します。
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治療方針決定
患者様のご意向とすり合わせながら治療方針を決めます。
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治療を開始
虫歯の程度、位置、歯や歯ぐきの状態などによって、治療は以下に大別されます。 治療の特徴を見る
虫歯ができる仕組み
虫歯とは虫歯の原因菌が作る酸によって歯のカルシウムが溶けている状態のことを言います。虫歯菌は生後すぐの赤ちゃん以外すべての人の口内に存在し、常に歯の表面や溝の中に付着しているプラークに棲みつき、口の中に入ってきた糖分を取り込んで増えてゆきます。
この時、虫歯菌は糖分をエサにして酸を放出し、歯の表面のエナメルを溶かして、歯を溶かして穴をあけようとします。人間はカルシウムを補充することで、バランスを保っていますが、歯磨きをしない日が続くと、そのバランスが崩れてしまい、虫歯になりやすい歯になってしまいます。
FEATURE 治療の特徴
虫歯にも種類や段階があり、発現する症状や治療法が異なります。ここでは各段階と一般的な治療についてご説明します。
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flow 表面を少し削って詰めます
浅い虫歯の場合、程度によって削らないでフッ素塗布と歯みがき指導だけで経過観察する場合もありますが、大きさや部位に応じて削り取り、すぐに樹脂で埋めます。
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flow 削って型を取り、
つめ物をします虫歯の部分を削って型を取ります。次に金属やセラミックのつめ物を作製し、次回にそれを詰めます。深い虫歯の場合は、虫歯の部分をできるだけ削り取って、神経を保護する薬を塗ってからセメントで穴を埋めます。状態にもよりますが、数週間から数ヵ月程度様子を見て、セメントの表層部を削り、プラスチックを詰めるか、もしくは型をとって模型上でつめ物を作製し、次回それを詰めます。
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flow 神経の治療をした後に、
型を取り、
かぶせ物をします歯の神経が細菌に感染していると神経の治療(根管治療)が必要になります。虫歯を削った後に神経を抜いてお掃除し(脱髄)、歯の根元をきれいにしてから、型をとってかぶせ物を作製します。治療期間を十分にとって歯の根元を徹底的にきれいにしないと再治療の必要性が生じます。
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flow 歯を抜きます
重度の虫歯によって神経が侵されている場合は、抜歯となります(歯周病や親知らずが横向きに生えている場合など、虫歯以外の理由でも歯を抜くこともあります)。痛みを極力生じないように、表面麻酔を塗ってから、歯の周りに麻酔液をゆっくりと注入していきます。歯周靭帯という組織を丁寧に歯から切り離して行くことで、歯ぐきを傷めずに歯を抜きやすくします。
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flow ブリッジまたは入れ歯、
インプラントを
歯の欠損部に入れます歯を失った部分に対する治療は大きく分けて3種類あります。歯の欠損部に取り外し式の人工歯を設置する「入れ歯」、欠損した歯の両隣りの歯を支持として人工歯を取り付ける固定式の「ブリッジ」、そして、あごの骨に人工的な歯根を埋め込んで人工歯を取り付ける「インプラント」の3つの方法です。そのなかでも、インプラントは入れ歯やブリッジの欠点を解決した最も新しい治療法といえます。
PROGRESS 虫歯の進行段階と症状
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虫歯の初期状態
虫歯になりかけた状態で、穴は空いていませんが歯の一番外側を覆っている表面のエナメル質が白く濁っています。溝の部分が茶色っぽくなることもありますが、見た目にはほとんど変化がなく痛みもありません。
症状 自覚症状なし -
エナメル質の虫歯
エナメル質が溶けて穴が空いています。細菌が内部にまで進入しているので、ブラッシングやフッ素塗布では根本的な治療に結びつきません。この段階では、痛みや違和感などの自覚症状がほとんどありません。
症状 まれに歯がしみる -
象牙質に達した虫歯
虫歯がエナメル質のさらに奥にある象牙質まで達した状態です。象牙質はエナメル質よりも柔らかいため、一気に虫歯は拡大します。歯髄(神経)の近くにまで進行していると、甘いものや冷たいもの、熱い食べ物がしみたり痛みを感じたりするようになります。
症状 歯がしみる、甘いものを食べると痛い -
神経にまで達した虫歯
象牙質の中にある歯髄にまで細菌が及んでいます。歯髄には血管や神経が含まれているため、炎症によって激しい痛みが起こったり、知覚過敏が生じたりします。歯髄炎と呼ばれる症状で、何もしなくても激しい痛みを感じることがほとんどです。
症状 ズキズキ痛む、冷たい物や温かい物がしみる、
噛むと痛い -
歯根にまで達した虫歯
虫歯の末期の状態で根っこだけが残っています。ほとんどの場合、歯を残せず、抜歯することになります。抜歯した後はブリッジや入れ歯、インプラントでの治療となり、数ヶ月から半年くらいの治療期間と各治療の費用が必要です。歯髄炎を放置すると、どこかの段階で痛みは消失しますが、これは虫歯によって歯の神経が失われたためです。治ったわけではないので、放置していると根の先に炎症が起こりますので早急に治療が必要です。
症状 自覚症状なし、噛むと痛い
重度の虫歯でも歯を残す
~根管治療について~
以前は、歯髄が炎症や感染を起こした重度の虫歯では、抜歯を余儀なくされていました。現在は、根管内に精密な治療を施し、できるだけ歯を残そうとする根管治療を行って、歯を残します。この治療では傷んだ歯髄を除去して、根管を注意深く清掃し、 再度の感染を防ぐために根の中につめ物をします。
とても難易度が高い処置で、歯科医の処置によっては、根管に汚れを残してしまい、治療終了後に再び痛みを感じることや歯ぐきが腫れあがるケースもあります。当クリニックでは、経験と高い技術を持つ歯科医が根管治療を担当し、ていねいに治療を行いますので、重度の虫歯でもあきらめないでご相談ください。
唾液検査から始める虫歯予防
「唾液検査」とは、唾液の量や唾液の質を調べたり、歯垢(プラーク)中の細菌を2〜4日間培養してどんな細菌がお口の中に多いかを調べ、患者さんご自身の虫歯のリスクを知ることができる検査です。「虫歯のなりやすさ」は、歯磨きや甘いものの食べ過ぎだけではなく、一人一人の虫歯菌の量、唾液の量、飲食の回数などによって変わります。
「唾液検査」をすることによって、ご自身の本当の虫歯のリスクを発見し、虫歯予防の対策に役立てることが可能です。本気で虫歯予防を考えていらっしゃる方は、ぜひ唾液検査をされてみてはいかがでしょうか?検査といっても、痛みを伴うようなつらい内容ではありません。約30分の検査の中で患者様に味のないガムを5分程度噛んでもらうだけの簡単な検査です。